当会の視点
中等度の足関節捻挫なのに、痛みや熱感が重症レベルの症例
全く同じレベルのケガをしても、Aさんはスムースに回復し、Bさんはなかなか回復しないといったことがよく起こりますが、こうした違いは何に由るものか?もともとある筋肉の強度や身体の柔軟性などを思い浮かべる方が多いのですが、実際はそのような肉体の問題ではなく、メンタルの影響のほうが圧倒的に多いことが分かっています。意外に思われる方が多いかもしれませんが、問診や傾聴カウンセリングを丁寧に行う医療機関の調査によって、ケガの回復に大きな影響を及ぼすのは、肉体の問題ではなくメンタルの次元であることが報告されているのです。
CRPS(RSD)とは何か?
当会ではCRPS(RSD)の病態について、痛み中枢の活性化-痛み記憶を形成する機能的ニューロン集団(セル・アセンブリ)すなわち痛み回路の過活動、およびボリューム伝達における非シナプス受容体の増殖反応-と、交感神経の機能異常という2つの病態が基礎にある。CRPS(RSD)の痛みは組織病変由来ではなく、脳の情報処理プロセスにおいて創られる痛み。過去の記憶や体験によって感覚を自動補正する“脳内補完”の一種と考えられる。肉体の部品(ハード)の問題ではなく、脳内アプリケーションソフトの次元であることから“ソフトペイン“と呼ばれる。
CRPS(RSD)の基礎知識
CRPSは複合性局所疼痛症候群(Complex regional pain syndrome)の略称で、RSDは反射性交感神経性ジストロフィー(Reflex sympathetic dystrophy)の略称。本学会がCRPS(RSD)という表記を採用している理由は世界疼痛学会(IASP)がCRPSという診断名を確立する以前、臨床現場で長く使用されていた旧い病名「RSD」が現在も使用されることがあるから。歴史的には末梢神経損傷後に生じる灼熱痛をカウザルギーと呼んだのが始まりで、その後神経損傷がないにも拘らず同様の症状を呈するケースが発見され、この両者において交感神経の異常活動とこれに起因する組織の萎縮が見られたことから反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)と呼ばれるように。その後、交感神経の問題が必発でないことが分かり、同様の症状を呈する疾患群を総称して「CRPS」と呼ぶように。
クラムジーとイップスとオスグッド~認知科学統合アプローチ(COSIA)の視点~
クラムジーは成長期に発生する運動回路エラーであり、イップスは成長期に限らず全世代で発生し得る運動回路エラーであり、オスグッド氏病(以下オスグッドと略す)は成長期に起きやすい運動回路エラーに伴う膝下(脛骨結節付近)の痛み。クラムジーとオスグッドは、成長期特有の問題として、筋骨格系の急激な成長(ハードの拡張)に脳の神経応答(ソフトのアップデート)が追いつかず、運動覚の失調(パフォーマンスの低下)や痛みなどを引き起こす。
腰痛&肩こりは癌の赤信号?
癌を患った人々が経験する体調異変のなかには腰痛・肩こりが含まれるが、腰痛・肩こりで医療機関を受診する患者のなかに、癌が見つかる頻度は1%以下。
したがって、腰痛・肩こりの99%は癌とは関係ありません
EBM(根拠に基づく医療)とは何か?
EBMではひとつのテーマに沿って行われた世界中のRCTを第三者機関が収集分析し、その結果を発表するという手順を踏みます。そうした情報が定期的に更新され、インターネットや書籍などで公表されています。
最低限知っておくべき薬の副作用
長期にわたって鎮痛剤や向精神薬の類(血液脳関門をすり抜けて脳内に入る化学物質)を飲み続けることは認知症のリスクを高めてしまう恐れが…。
本記事ではそんな薬の副作用について説明した切り抜き画像を添付してあります。是非参考になさってください。ポリファーマシー(多剤併用の健康被害)についてはこちらのページをご覧下さい。
認知症に対するタッチケアの効果~脳恒常性機能不全(BD)と認知症の関係~
フランスでは認知症に対する治療の柱は薬物からホリスティックな療法(全人的医療)に切り替わっており、他の欧州各国においても薬の限界を鑑みて、タッチケアを含め人同士のコミュニケーションを重視する医療観にシフトしています。
「身体症状症/病気不安症/変換症」と脳恒常性機能不全(BD)の関係
の臨床研究において、身体化と言われる疾患群の中に、相当数の脳疲労(脳過労
が潜んでいることが報告されています。
各個人の様々な人生サイクルの中で、長期にわたって避け得ない葛藤が続いたり、突発的かつ強大なストレスにさらされたりすると、脳のエネルギーバランスが著しく乱れ、これが脳疲労となって顕在化します
疲労骨折とテンセグリティと脳恒常性機能不全(BD)の関係について
骨格としてのテンセグリティ共振が損なわれることで、骨の物理的強度が低下する。皮膚や筋肉の過緊張あるいは低緊張が強くなると、こうした骨格内在モデル(共振特性)が損なわれることで弾性能力が低下…。すると下肢骨は荷重やジャンプ等の衝撃に対して応力を分散することができなくなり、これがシンスプリントや疲労骨折に繋がる
失恋した脳の実験で分かったこと~痛み&感情&個体差~
米国のミシガン大学において、直近6ヵ月のあいだに恋人にフラれた男女40人が集められ、最初に熱刺激による痛みを与えて、その際の脳の反応を調べます。
次に、別れた元恋人の写真を見せて、その際の脳の反応を調べました。すると、驚くべきことに痛みを与えたときと同じ領域が活性化していたのです。
ソーシャル・ボイス・ディスタンス(Social voice distance)~ボイラーの増殖社会~
電車内での会話、カフェやレストランでの会話など、多くの人々はその場の雰囲気に見合う声の大きさを意識的あるいは無意識的に調節することで、周囲への配慮を行っているわけですが、当会はこうした能力をソーシャル・ボイス・ディスタンス(SBD)と呼んでおり、広義的には暗黙のマナーとしてこれが守られている状態を指します。
脳弾塑性とは何か?(一般向けの説明)
脳に働きかけるアプローチを説明するとき、疲れた脳を癒し、その上で神経回路の再配線を促すということ。可塑性という概念には脳の癒し効果が含まれていない…。つまり神経可塑性という用語には「脳を癒すプロセス」が含意されていないのです。
脳を癒すプロセス(脳疲労の解消)は、いわば原状回復を意味しており、本来の姿に戻すこと、すなわち弾性という言葉で表すことができます。
ソーシャル・レジリエンス(Social Resilience)
レジリエンスを高めるためのキーワードとして、「感情のコントロール」「自尊感情」「自己効力感」「楽観性」などが取り沙汰されていますが、これまでの研究のほとんどは個人を対象にしたものであり、社会レベルの集団を対象にした研究はありません。
コロナ禍マスク二ケーション(マスクによるコミュニケーション)が招来する社会的後遺症~マスク依存症(強迫症)を防ぐために~
マスクによる脳への影響、マスクによるコミュニケーションの問題は日本の未来に深刻な問題を引き起こす。マスクニケーションとは当会による造語で「マスクを介したコミュニケーション」を指す用語。ノンバーバル・コミュニケーション能力が劣化する恐れがあり、後世にわたって社会の在り様を変えてしまう危険性を孕んでいる。
ハラスメント当事者(加害者)の呼び名について~自覚を促すスマートな方法~
「セクハラ・パワハラ・モラハラ・スモハラ」は、今なお社会生活に潜んでおり、なかには自覚に乏しい人もおられるようです。そうした人にさりげなく気づいてもらう方策のひとつとして、当会は以下のような造語を提起します。セクラ―・パワラー・モララー・スモラー・ボイラー。
スメル・ハラスメント(香害)の認知科学
嗅覚の感知メカニズムはニオイ物質(基質)を捉えた嗅細胞からの軸索投射を受けた糸球が1対1の関係で対応します。この糸球の発現形態が嗅球表面に二次元描写され、この画像情報が脳に入力されることで「何のニオイなのか?」という認知が生まれます
認知科学統合アプローチ(COSIA)とは何か?
認知科学の実験によって痛みの起源は感情であることが示されている。仲間外れにされた人、失恋した人の脳を調べると、痛みを感じている人の脳と同じような活動を示すことが分かっている。こうした認知科学の知見に基づいて行われる医療が「Cognitive Science Based Medicine(認知科学に基づく医療)」。略してCSBM。これを象徴する治療としてミラーセラピーやミラータッチングが有名。