身体症状初・病気不安症・変換症と脳過労

身体症状症とは

 以前まで「身体化障害・身体表現性障害・身体表現性疼痛障害」と診断されていましたが、現在ではこれらをまとめて身体症状症と呼ぶようになっています。

 診断基準については基本的に臨床診断となります。6カ月以上にわたって日常生活の破綻が認められ、かつ以下のうち少なくとも1つが当てはまることが条件です。 

  • 症状の重篤さに関する不釣り合いで持続的な思考
  • 健康または症状に関する持続的な強い不安
  • 症状または健康に関する心配に対する時間およびエネルギーの過度の浪費

 当然ながら種々検査によって器質的な疾患が認められないこと、患者さんの訴えに対して医学的に合理的な説明がつかないことなどが前提となります。これに関連するものとして病気不安症があります。

病気不安症とは

 心気症と呼ばれていた時期がありますが、現在この病名は使われておりません。これは自分は病気に違いない、あるいはこのままでは病気になってしまうという強い恐れを抱いており、そうした不安によって社会的活動が制限されたり、著しい苦痛を伴ったりする状態です。

 病気不安症の診断も以下の基準による臨床診断となります。

  • 重篤な疾患または発症に関するとらわれ。
  • 身体症状はないか、あっても微少。
  • 健康に関して強い不安を抱いており、些細なことに警戒心を抱く。
  • セルフチェック頻度が多いにもかかわらず、受診予約や来院を避ける傾向。
  • 6カ月以上にわたる病気への過大なとらわれ、あるいは具体的な訴えの変化。
  • うつ病または別の精神障害での説明が困難。

 病気不安症では病気の意味に不安を抱きやすいが、一方で身体症状症では顕著に現れる症状自体に不安を抱きやすいという特徴(違い)があります。

変換症とは

 以前まで転換ヒステリーあるいは転換性障害と言われていましたが、アメリカ精神医学会によるDSM-5日本語版で、変換症という診断名に改定されています。

 いわゆる身体化(精神現象が身体症状として現れること)の一種で、強大なストレスを受けたあとに発症するケースが多いようです。運動または感覚機能の障害、ときに振戦(ふるえ)、けいれん発作、意識障害、異常肢位などが見られます。

 より具体的な症状としては協調運動の障害、平衡障害、筋力低下、上肢もしくは下肢の麻痺、感覚消失、複視、難聴、失声、嚥下困難、咽喉頭異常感などが挙げられます。
 
 変換症の診断に際しては類似疾患との鑑別(症状の詳細が神経疾患と一致しない)が何よりも重要で、たとえば「ベッド上で足首を伸ばす動き(足関節の底屈)が極端に弱いのに、完全なつま先立ち歩行ができる」といった矛盾する徴候を丁寧に調べていきます。

 その上で日常生活のあらゆる場面で著しい機能障害を抱えている場合に変換症と診断されます。また精神医学的なアプローチで症状が消失することをもって“治療的診断”となるケースもあります。

 総じて当該疾患であることを受容できる患者さんは稀であり、そのため医療者との信頼関係の構築が極めて重要とされています。

これらの全てに脳恒常性機能不全(BD)が深く関わっている!

 当会の臨床研究において、身体化と言われる疾患群の中に、相当数の脳恒常性機能不全(BD)が潜んでいることが報告されています。

 各個人の様々な人生サイクルの中で、長期にわたって避け得ない葛藤が続いたり、突発的かつ強大なストレスにさらされたりすると、脳過負荷(オーバーロード)と呼ばれる状態に陥ります。そしてこれがトリガーとなって脳恒常性機能不全(BD)に移行すると、様々な症状が現れます。

 このとき無意識下の感情がスムースに放出されないとき、あるいは無意識の気持ちをスムースに言語化できないとき、ヒトは多種多様な形でアウトプットします。無意識に様々な症状を出したり、自己表現したりする場合があるということです。

 実際、当院の臨床においても同様の現象を確認しており、オーバーロードを停止させるか、あるいは脳恒常性機能不全(BD)を改善させることで症状が落ち着くケースがあります。

 精神科や心療内科でこれら3つの診断を受けた際は、薬に頼らないBReIN(傾聴カウンセリングをはじめタッチング等複数の技法を組み合わせる統合療法)という選択肢もあることに是非ご留意いただければと思います。

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認知科学統合アプローチ(COSIA)は「認知科学と医療の融合」を表す概念であり、その起源は運動器プライマリケアにおける疼痛管理にあります。

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