古代、狩猟生活を送る人類にとって、環境に見合った声の大きさを調節する能力は欠かせないものだったと推断されます。

 たとえば大型の夜行性動物に襲われる危険があるなかで、夜間に大声を出すような、迂闊な行為をする人間は自らの生存率を下げていたことでしょう…。


 翻って現代社会、多くの人々は自分がいる空間(室内環境)の全体的な特徴(人の密度、話し声やBGMの反響など)を踏まえ、その状況に見合った発声をします。

 そのときどきの環境に応じて発話の音量を調節しています。

 電車内での会話、カフェやレストランでの会話など、多くの人々はその場の雰囲気に見合う声の大きさを意識的あるいは無意識的に調節することで、周囲への配慮を行っているわけですが、当会はこうした能力をソーシャル・ボイス・ディスタンス(SBD)と呼んでおり、広義的には暗黙のマナーとしてこれが守られている状態を指します。

 ところがコロナ禍においては、SBDが守られない状況が増えています。

 事と次第によってはマスクニケーション(詳しくはcette page)の弊害の一つと捉えられるかもしれませんが、明らかにその場の雰囲気に相容れない過剰な発声をしつつ、かつそういう自分に気づけない人々が至る所に…。

 世の中にはセクハラやモラハラなど様々なハラスメントが知られていますが、こうしたSBDを守らない行為は、“声量ハラスメント”または“ボイス・ボリューム・ハラスメント”と表現してもいいのではないかと指摘する声もあります。略して「ボイハラ」…、なんていう言葉が使われるようになる日が来る…?

 筆者はセクハラをする人を「セクラー」、モラハラをする人を「モララー」、パワハラをする人を「パワラー」と呼んでいますが、ボイハラをする人についても密かに「ボイラー」と呼んでいます。

 一般に居酒屋に代表される酒宴の席では、よほど度を越さない限りSBDが問題になることはありません(アルコールによる会話のヒートアップはその場の空間に許容され吸収され得る)が、一方、昼間の時間帯のパブリックスペースにおいて、ときに許容され難い事態が随所に発生しています。

 これも当会が主張する超個体差の一部であり、実際には出力側(声の主)の問題と入力側(うるさいと感じる第三者)の問題として、そのそれぞれに脳の情報処理性能の個体差が潜在します。

 とは言え、受け取る側の問題として片づけるにはあまりに度を越しているケースが増えているのも確かです。

 たとえばファミリーレストランやカフェで商談をしている場面。保険の勧誘や契約を促したり、何らかのビジネスやコミュニティの説明をしたりする際の営業トーク。これに熱がこもってくると、耐え難い音量となって周囲に大きなストレスを与えます。

 同じような環境において、会話の盛り上がり方が完全に居酒屋モードになっているグループ(ボイラー集団)も散見されるようになりました。明らかに場違いな雰囲気で、店内の空気を変えてしまっていることに気づけない、配慮できない人々が本当に増えているのです。

 先日、ショッピングモール内のカフェで食後のコーヒーを堪能しているとき、隣席の2人組の若い女性がSBDを守れない状態、すなわち典型的なボイラーと化していました。

 思わず「ここは居酒屋ではありませんよ」と声をかけたくなるほどでしたが、楽しそうに盛り上がっているところに水を差すのもなんだかなあということで、我慢しておりました。

 すると、その内のひとりが、盛り上がった会話のノリのままで、あろうことか「私ちょっと、うんちに行ってくるね」と言い放って席を立ったのです。もうこれには唖然茫然、周囲のほかの人たちも一瞬黙ってしまうほどの衝撃的な出来事でした。

 SBDがダメになっている上に、さらに空間における公私の区別が完全につかなくなっている、あるいはVRのやり過ぎで現実とバーチャルの区別がつかなくなっている?いずれにせよカフェにいるのに、自分の家にいるかのような精神状態になっているとしか思えない…。 


 コロナ禍においては多くの制約を抱えることになり、とくに日本のように、良くも悪くも集団性という強い特性を持つ国では、個人が無意識に抱えるストレスは相当なレベルに達しています。

 その裏返し、反動と捉えることもできるかもしれませんが、それを考慮しても余りある配慮なき人々の増殖は日本社会にとって憂うべき事態です。

 コロナ禍が始まった当初、テレビは盛んに「ソーシャル・ディスタンス」を連呼していましたが、アフターコロナにあっては、コロナ禍の社会的後遺症の一つかもしれないソーシャル・ボイス・ディスタンス(SBD)の崩壊という概念を啓蒙する必要があるのではないでしょうか。

 テレビ関係者が当会のようなマイナーな存在をキャッチすることはないでしょうから、この記事を読まれて、もし共感された方がいらっしゃいましたら、SNSでの拡散をお願い致します。  

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